アカネ
小さな折りたたみテーブル
空っぽの冷蔵庫
重ねた段ボールの影
長く伸びている
幸せの街で
幸せの音探していく
遠くの空が茜に染まる
初めて見るはずの景色
なぜか懐かしい景色
さっき自販機で買ったアイスティー
テーブルの初めてのお客様
カランと軽い音ひとつ
冷蔵庫のうなる音
今日から僕の「おかえり」になる
あつかいづらいままで
ついに僕はこんな所まで来た
涙ならもう乾いた
遠くの空の茜もやがて
群青色の黄昏になる
そうやって僕も
この街の景色になってゆく
ここが僕の「ただいま」になる